見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~
「富井、いつまでここにいる気だ。希沙から離れろ」

「なんだよ、人を危険物みたいに」

「危険物というより、数多の女性をたぶらかして感染するウイルスだろう」


容赦なく毒を吐かれた富井さんは、歪んだ顔を私に向け、「……絶対俺よりヒドいよね?」と呟いた。確かにそこは否定できないので、曖昧に笑うしかない。

彼は渋々腰を上げつつ、周さんがいるにもかかわらず、大胆にも私の耳に唇を寄せる。


「もし辛くなったら、いつでも俺のところにおいで。感染どころかたっぷり癒してあげるから」


色気のある声で囁いた富井さんは、動揺する私を見てクスッと笑う。そして、周さんに向かって挑発的に口角を上げ、茶室を出ていった。

彼の言葉が聞こえたのか、周さんがじろりとした視線で私を捉えるので、慌てて首を横に振る。


「行きませんよ! 私は周さんのところ以外、どこにも」

「それは今夜、じっくり確かめさせてもらう」


扇情的な声で告げられた、甘く危険な香りがする予告に、ギクリとしつつもどこか喜んでいる自分がいた。

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