見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~
「富井がそんなことを?」

「はい。本当は周さんと仲良くなりたいんじゃないかな」

「ほう……ツンデレ、とはこういうことを指すのか」


淡々と分析する彼がおかしくて笑いがこぼれた。こうやって話していると、富井さんが可愛く思えてくる。

周さんは濡れた前髪を掻き上げ、真面目な調子で言う。


「自分たちが産まれる前のことに今でも縛られるのは本当にくだらないが、そういうしがらみが根強く残っているのが現状だ」

「ずっと染みついてるものって、なかなか失くせないですよね」


本音を吐露していた富井さんの表情を思い出していると、後ろから腕が回されて抱きしめられる。


「でも俺たちの子には、そんなものを背負わせたくはないな」


耳元でする優しい声に、私も同意して頷く。

いつか会う私たちの子供には、自由にのびのびと育ってほしい。そんな理想を思い描きながら、後ろに首をひねって穏やかなキスを交わした。

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