見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~
 * * *


──しかし、私たちが親になる日はなかなか訪れてくれなかった。

あれからさらに四ヵ月が過ぎ、街中はクリスマスカラーやイルミネーションで彩られている。

私は相変わらず給仕と煎茶道の講師を交互に務める日々で、最近は浮かない気分のときが増えた気がする。生理が来るたび落ち込むし、それが近づく気配がするだけでため息をつくほど。

お母様に言われたタイムリミットはまだ先だが、半年で約七割の人が妊娠するという情報を見てしまい、気持ちは焦る一方なのだ。

十二月半ばの今日も、なんとなく身体が怠い毎月の症状が現れて、気分はブルーになっている。

午後四時の、誰もいない食堂のテーブルのセッティングをしていると、同じく遅番のほのかちゃんが声をかけてきた。


「希沙さん、大丈夫ですか? あんまり顔色がよくないですよ」

「あー……生理前だからかな。たいしたことないよ、ありがと」


心配そうにする彼女に、私は笑みを返した。

いけない、顔に出ていたかな。なにか別の楽しいことを考えて、気分を変えないと。

頭の中で検索してみたら、すぐにヒットした。ほのかちゃんの恋にちょっとした動きがあったのだ。
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