見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~
母方の祖父母のことは、私が物心ついた頃には亡くなっていたのでよく知らないのだ。離婚した実の父や、その両親についても同じ。
母も語ろうとしなかったし、今の家族がすべてだから、別に知らなくてもいいと思っていたけれど……。
「じゃあ、結局は家柄で選ばれたってこと?」
「だとしたら諦めがつくわ」
彼女たちが話すのを聞いていると、胸がざわめき始める。
周さんが私の先祖のことまで知っているとは思えないし、万が一知っていたとしても、彼にとってのメリットは特にないはず。母が大きな財産を持っているわけでもないし。
彼が私を選んだのは、素敵な偶然。……そう信じているのに、なにか引っかかる感覚がするのはどうしてだろう。
なんとなくもやっとしたものを感じるも、ドアの向こうから漏れてくる次の言葉で一気に思考が切り替わる。
「まあ、やっぱり一柳家には嫁がなくて正解よ。子供を産むのはもちろん、〝男の子が絶対!〟なんでしょう? 泰永さんもいずれ子供ができたとして、女の子だったら悲惨よね」
ドクン、と重く鈍い心臓の音が響いた。
母も語ろうとしなかったし、今の家族がすべてだから、別に知らなくてもいいと思っていたけれど……。
「じゃあ、結局は家柄で選ばれたってこと?」
「だとしたら諦めがつくわ」
彼女たちが話すのを聞いていると、胸がざわめき始める。
周さんが私の先祖のことまで知っているとは思えないし、万が一知っていたとしても、彼にとってのメリットは特にないはず。母が大きな財産を持っているわけでもないし。
彼が私を選んだのは、素敵な偶然。……そう信じているのに、なにか引っかかる感覚がするのはどうしてだろう。
なんとなくもやっとしたものを感じるも、ドアの向こうから漏れてくる次の言葉で一気に思考が切り替わる。
「まあ、やっぱり一柳家には嫁がなくて正解よ。子供を産むのはもちろん、〝男の子が絶対!〟なんでしょう? 泰永さんもいずれ子供ができたとして、女の子だったら悲惨よね」
ドクン、と重く鈍い心臓の音が響いた。