見習い夫婦～エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます～

〝男の子が絶対〟……言われてみれば、跡取りとなるのは普通は男の子だから、それを望まれるだろう。

でも私は、妊娠できるかどうかばかりで、性別まで気にしていなかった。もし妊娠したとしても、女の子だったらどうなる……？

胸をざわめかせるその疑問について、タイミングを見計らったかのごとくおば様ふたりが話し続ける。


「女の子だったらお婿さんをもらえばいいじゃない」

「それでも、また周りから同じことを言われるのよ？　『男の子を産め』って。私だったら、娘にそんなプレッシャーかけたくないわ」

「ああ、確かに」


彼女たちが気の毒そうに笑うのを聞きながら、私は胸が押し潰されそうになっていた。

この大変さを味わわせることになるかもしれない。そう考えると、子供を幸せにできるのかと自信が揺らぎ始めてしまう。

周さんは、子供にはしがらみを背負わせたくないと言っていたけれど、旧華族の一柳家である限り、それはやはり無理なんじゃないだろうか。

でも、周さんと結婚するためには子供を作らなきゃ……。

額に手を当てて堂々巡りな葛藤をしていたとき、ふとあることに気づいて手を離す。