見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~
私、周さんと結婚したいから子供を作るの? 彼と生きていく人生をもっと素敵なものにするためではなく?

そうだ……私が子供を望むのは、周さんと一緒にいるための手段として必要だからだ。跡取りを残す使命がなければ、特に欲しいとは思わなかっただろう。

子供を授かったとしても、こんな意識の私に、愛情をかけてきちんと育てることができる?

愛し合った証を残したいという純粋な気持ちが欠けている私に、本当に親になる資格があるのだろうか──。



心ここに非ずな状態になりがちだったが、なんとか大きなミスはなく仕事を終えて帰宅した。

お風呂に入って浴衣に着替え、温かい綿入れの羽織を纏った私は、周さんの寝室のローソファに座ってぼんやりしている。

同じ格好で部屋に入ってきた周さんは、私の向かい側に座ってこちらをじっと見つめてくる。


「希沙、最近元気がないぞ。今日は特に沈んでる。また職場でなにかあったか?」


やや心配そうな表情で聞かれ、私はぎこちない笑顔を作って首を横に振る。


「ううん、ちょっと考え事をしてるだけ」

「子供のことだろう」


あっさりと当てられ、ギクリとした。押し黙る私を見て、周さんはわずかに苦笑を漏らす。
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