見習い夫婦～エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます～

橘さんたちの話を耳にして植えつけられた不安の種は、みるみる育って心に影を落としている。

それを晴らすことができないのは、私自身の気持ちが大きく関わっているからだ。


「もともと結婚願望がなかったから、自分が親になる未来なんて想像もできなかったし、人の子を見て可愛いとは思うけど、自分の子を愛せるかどうかもわからない。今、子供が欲しいのは、周さんと結婚したいから……ただ、それだけの理由だったことに気づいたんです」


まるで、自分のために子供を利用しているみたいだ、と自嘲する。彼にも軽蔑されるかもしれないが、気持ちを吐き出すのを止められなかった。

こんな私が、ちゃんとした母親になれるだろうか。周さんは、こういう不安はないの？


「周さんは、子供が好き？　自分の子を愛して、幸せにする自信はありますか？」


力無く視線を上げて問いかけてみた。硬い表情で私を見つめていた彼は、思案するようにふっとまつ毛を伏せる。


「……正直、子供は好きでも嫌いでもない。触れ合う機会がほとんどなかったからな。自分の子を愛せるかどうかは、産まれてみないことにはわからないと思う。特に男は」