見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~
俺が知っている旧華族の人間は、いつ人に会っても恥ずかしくない姿でいることを心がけている者がほとんど。だがこの子は、どうやらそうではないらしい。

……面白い。普段はどんなふうに過ごしているのか、とても気になる。

希沙の手前を見ている数分の間で、俺の好奇心は大きく膨れ上がっていた。

悠久流や祖父との繋がりだけでなく、彼女自身の人間性に非常に興味がある。女性に対して、こんなに知りたい欲に駆られたのは初めてだ。

……ようやく見つけた。特別だと感じる女性を。

この子は、俺の知らない世界を見せてくれるかもしれない。逃したら、きっと後悔する。

その動物的な直感に従い、手前が終わったあと、さっそく希沙に近づいた。

急須に描かれたものが祖母から受け継いだ女紋であることを確認すると、俺の口は自然に動いていた。

『君を娶りたい』と。


希沙と話をしたり、茶園で働く様子や部屋の散らかり具合を見たりしているうちに、幻滅するどころか彼女への興味は膨らむばかりだった。

旧華族の面影などまったくない。煎茶道をしているときと、ズボラな日常とのギャップがありすぎる。
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