見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~
予定よりもだいぶ早く駅に着いたので、新幹線の発車時刻まで各々時間を潰すことにする。
ふたりは家族や職場の皆に渡す土産を選びに行き、俺も希沙になにか買っていこうと、クリスマスムード一色の駅ビルの中をぶらつく。
ふと足を止めたのは、白を基調とした清潔感漂うベビーや子供用品を扱う雑貨屋。こんな店の前に来たのはもちろん初めてのこと。
店内には大きな腹を抱えてゆったりと歩く女性や、抱っこ紐で赤子を抱いている人が目立つ。とびきり小さな服を広げて微笑む彼女たち、皆が幸せそうに見えて胸がチクリと痛む。
いつか希沙にもあんな顔をさせてあげたいが……。
とりあえず、ここは今訪れる場所ではないと思い、眩しい店内から目を背けて歩き出そうとしたときだ。
「ふああ~~!! マ~マぁ~!!」
突然、背後から大きな泣き声が響き渡り、ギョッとして振り返る。そこには、三歳くらいの男の子がボロボロと涙をこぼして立っていた。
迷子か? 困ったな……。
子供に接したことがほとんどない俺にできる対処法は少ない。が、このまま放っておくこともできず、ひとまず男の子のそばにしゃがむ。