見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~
ノリツッコミをする彼に、つい笑いそうになる。アラフォー男が年下の子に恋してるというのは、なんとも初々しくてミスマッチだ。

いろいろと障害もあるだろうが、ふたりはうまくいってほしい。

ほっこりとした気持ちになっていると、藪さんは急に神妙な顔つきになる。


「それはさておき、ちょうど周に言おうと思ってたことがあるんだ」

「なに?」

「今日の午前中、希沙ちゃんとトミーが会ってるのを見たんだよ。ふたりで呉服屋から出てきた」


突然、寝耳に水の話をされ、俺の顔は間抜け面になっていることだろう。

希沙と富井が一緒にいた、だって? そんなはずはない。ふたりが会う理由など思いつかない。


「藪さん、眼科行ったら」

「俺は視力いいし、見間違いじゃねぇから」


俺は訝しげにするものの、藪さんはふざけていない様子。どうやら本当らしい。

藪さんも、俺の同級生ということで富井を知っている。俺と同様、危険人物だと認識しているようで、若干眉をひそめている。


「トミーはちょいちょい煎茶道教室に来てたんだろ。女好きって噂があるとどうもなぁ……。あの希沙ちゃんがお前を裏切るようなことするとも思えないけど、一応の報告だ」
< 218 / 275 >

この作品をシェア

pagetop