見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~
周さんは、私の血筋が旧華族だったから求婚した……。

もしそうなら、橘さんたちが話していたのと同様に納得する。興味が湧いたというのも、その場しのぎにすぎなかったのかもしれない。

そう考えてもたいしてショックじゃないのは、周さんが私自身を愛してくれていると信じているからだ。


「だとしても、あまり大きな問題ではありません。ふたりで暮らし始めてから育んできた愛のほうが、ずっと大事ですから。むしろ、彼が私に声をかけるきっかけになってよかったです。今、一緒にいられて幸せなので」


迷いなく答えると、富井さんはやや目を丸くした。

自分の家柄は正直どうでもいいのだ。この二十七年間、ずっと知らずに生きてきたのだし。

ただ、母がどうだったのかは気になる。旧華族のしがらみはなかったのか、もしあったなら、そのときどうしたのか。

子供のことも相談しようか迷っていたが、この際腹を割って話してみたい。

周さんが出張から戻ってくるのは夜になると言っていた。それまでに、ゆっくりはしていられないが、実家に帰ろう。不安を和らげることができるかもしれない。
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