見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~
最近身体が怠いとは感じていたけれど、今は特にひどい気がする。お昼ご飯しかまともに食べていないせいだろうか。
こんなところで休んでいないで、早く帰らなきゃ。早く周さんに会いたい。
俯きながらも気持ちを奮い立たせていた、そのときだ。
「希沙!」
聞こえるわけないのに、雑踏に混じって大好きな声が鮮明に響いた。ぱっと顔を上げて辺りを見回せば、人混みの間を縫ってスーツ姿の彼がこちらに駆けてくる。
「え……周さん!?」
なんでここに? もしかして、さっきの私のメッセージを見て来たの?
細かいことはわからないが、今一番会いたかった人がすぐ近くにいる、その事実が嬉しい。今すぐ彼の胸に飛び込みたい。
一瞬身体の怠さも忘れ、勢いよく立ち上がった。
──その瞬間、頭が後方に引っ張られるようにぐらりと揺れる。視界が回って、周さんの姿もぐにゃりと歪む。
なに、これ……私、周さんのところに行きたい、のに……。
彼に向かって手を伸ばすも掴める感覚はなく、全身から力が抜け、あっという間に世界が真っ白になった。
遠退いていく意識の中で、私の名前を叫ぶ愛しい人の声だけが響いていた。
こんなところで休んでいないで、早く帰らなきゃ。早く周さんに会いたい。
俯きながらも気持ちを奮い立たせていた、そのときだ。
「希沙!」
聞こえるわけないのに、雑踏に混じって大好きな声が鮮明に響いた。ぱっと顔を上げて辺りを見回せば、人混みの間を縫ってスーツ姿の彼がこちらに駆けてくる。
「え……周さん!?」
なんでここに? もしかして、さっきの私のメッセージを見て来たの?
細かいことはわからないが、今一番会いたかった人がすぐ近くにいる、その事実が嬉しい。今すぐ彼の胸に飛び込みたい。
一瞬身体の怠さも忘れ、勢いよく立ち上がった。
──その瞬間、頭が後方に引っ張られるようにぐらりと揺れる。視界が回って、周さんの姿もぐにゃりと歪む。
なに、これ……私、周さんのところに行きたい、のに……。
彼に向かって手を伸ばすも掴める感覚はなく、全身から力が抜け、あっという間に世界が真っ白になった。
遠退いていく意識の中で、私の名前を叫ぶ愛しい人の声だけが響いていた。