見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~
周さんもひとまず安堵した様子で、ベッドの脇の椅子に腰かけた。いつもの彼からは想像もつかないほど弱々しい。


「ここのところ、具合悪かったのか? 気づいてやれなくてすまなかった」

「謝らないでください! 身体が怠いとは思ってたけどたいしたことはなかったから、自分でもびっくり」


肩を落とす彼に元気を出してほしくて、私はあえて明るい調子で言った。

本当に、まさか貧血で倒れるとは思わなかった。最近調子が優れなかったのはそのせいだったのか。

自己管理ができていなかったことを反省しつつ、倒れる寸前のことを思い出して問いかける。


「あのとき、どうして駅にいたんですか? 帰ってくるのは夜だったんじゃ……」

「出張のあと、会社に寄るつもりだったがやめたんだ。早く希沙に会いたくて」


なにげなく口にされたひとことにキュンとする。ときめいている場合ではないのに。


「でも、帰ったら誰もいなくて。電話も出ないし、君が富井に会っているのを見たって人の話も聞いていたから、とりあえずヤツのところへ行った」


それを聞いて、別にやましいことはないのにドキリとする。

周さんも富井さんの呉服屋に行ったの? 変な誤解をしていたりしないよね!?
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