見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~
話が中断されて、私たちは微妙な気まずさを感じるも、ひとまず先生の話に集中することにした。

──そこで宣告されたのは、予想外すぎる事実。


「泰永さん、妊娠されてますよ」


穏やかそうな先生のひとことを、私も周さんもすぐには飲み込めずぽかんとするだけ。

間抜けな声で「……え?」としか言えない私に、最終月経から数えて妊娠五週に入っていること、今回の貧血はそれが原因であることなどを、先生は教えてくれた。

産婦人科できちんとした検査を受けないと胎児の状態はわからないが、ひとまず妊娠していることは確からしい。

すべての説明を終えて先生が部屋を出ていくまで、私たちは信じられない思いで放心状態になっていた。


「う、そ……いるの? ここに……」


ようやく声を発した私は、自分の平らなお腹に震える手を当てる。ここに、私と周さんの赤ちゃんがいる──。


「来てくれてたの? ごめんね、気づかなくて……」


これまでも生理が遅れることは度々あったから、今回もきっと妊娠には至っていないと思い込んでいた。赤ちゃんに申し訳ない気持ちになる。

最近ネガティブ思考だったのも、妊娠期特有のホルモンバランスの変化が原因だったのかもしれない。

でも……言い表せない感動と、涙と、素直に嬉しい感情が込み上げてくる。やっぱり、夢とは比較にならない。
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