見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~
徐々に夜が迫る空が美しいグラデーションを描く頃、私は旦那様に腕枕をされ、今日のことを思い返す。
「周さんの名前、素敵な由来でしたね」
「ああ……知れてよかった」
淡々とした口調の中にも優しさが含まれている。周さんとご両親の仲は、これからまた変わっていくのかもしれない。
「笑顔も失くしてなんかいませんよ。特に最近はよく見てる」
出会った頃の冷たさを懐かしく思い、間近にある整った顔を見つめれば、彼は一瞬キョトンとしたあと口元を緩める。
「希沙が取り戻したんだよ。これは不治の病を治すくらい、すごいことだと思う」
大袈裟なたとえだが嬉しくて、私もふふっと笑いをこぼした。
周さんはふいに「……俺の勘は間違ってなかったな」と呟き、私の髪を撫でて慈しむような眼差しを向ける。
「君がいてくれるおかげで心から笑えるんだ。ありがとう」