見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~
富井さんがデザインしてくれた子供用の着物は、正統派だが花の模様や色合いがどこかレトロかつ女の子らしくて、他にはない一点ものだ。棗もとっても気に入っている。
一方、私は紅葉の紋が入ったお決まりの着物。フォーマルな席ではやはりこれに限る。
「棗が大きくなったら、お母さんのこの着物をあげるからね」
「やったー!」
周さんとじゃれている娘に声をかけると、彼女はぴょんぴょんと飛び跳ねた。すぐに着崩れそうだな……と苦笑いするも、元気なのでよしとする。
私の母もこんな気持ちだったのだろうか。着物も、煎茶道も、こうして次の世代に受け継がれていくのだと思うと感慨深い。
背中に背負った女紋は、ただ家柄を示すものではなく、代々母となってきた者からその子供への愛情の印と言ってもいいのかもしれない。
そんなふうに考えていると、周さんが「そろそろ行こうか」と声をかける。返事をした私と棗は、おままごとの煎茶道具を片づけ始めた。
なんと今日はこれから、藪さんとほのかちゃんの結婚式なのだ。
棗が産まれる前に晴れて恋人同士となっていたふたりは、結婚に向けてゆっくり着実にお互いの家族と話を進めたらしい。無事この日を迎えられて、本当に嬉しい。
一方、私は紅葉の紋が入ったお決まりの着物。フォーマルな席ではやはりこれに限る。
「棗が大きくなったら、お母さんのこの着物をあげるからね」
「やったー!」
周さんとじゃれている娘に声をかけると、彼女はぴょんぴょんと飛び跳ねた。すぐに着崩れそうだな……と苦笑いするも、元気なのでよしとする。
私の母もこんな気持ちだったのだろうか。着物も、煎茶道も、こうして次の世代に受け継がれていくのだと思うと感慨深い。
背中に背負った女紋は、ただ家柄を示すものではなく、代々母となってきた者からその子供への愛情の印と言ってもいいのかもしれない。
そんなふうに考えていると、周さんが「そろそろ行こうか」と声をかける。返事をした私と棗は、おままごとの煎茶道具を片づけ始めた。
なんと今日はこれから、藪さんとほのかちゃんの結婚式なのだ。
棗が産まれる前に晴れて恋人同士となっていたふたりは、結婚に向けてゆっくり着実にお互いの家族と話を進めたらしい。無事この日を迎えられて、本当に嬉しい。