見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~
──突然の呼び捨てと砕けた口調に、ドキン!と大きく心臓が波打った。
不思議だ。急にこんなふうにされても、馴れ馴れしいだとか不快な感情は湧いてこない。むしろ、他人行儀じゃないのが嬉しいとさえ感じる。
「や、じゃない……です」
「じゃあ、これは?」
「え──っ」
たどたどしく答えた直後、今度は手首を取って引き寄せられる。彼の胸に飛び込む形になり、私は息が止まりそうになった。
「え!? ちょ、まっ……!」
「ちゃんと喋らなければ伝わらない。どうなんだ」
一柳さんは動揺しまくる私の背中を大きな手で支え、どこか艶めかしい声色で言う。
耳元で響くからゾクゾクする……! そしてこの人はやはりSに違いない、と発言を聞いて勝手に確信した。
でも、抱き留める手つきは優しいし、腕の中も心地いい。
ほんのり鼻をかすめる甘くスパイシーな香りにもくらくらしつつ、「嫌じゃありません」と、もう一度答えた。〝すごくドキドキするだけで〟という補足は心の中でだけしておく。
私の返答に満足したのか、静かに身体が離された。それでもまだ近い距離で、熱が集まる私の顔を、冷静な彼の瞳が覗き込む。
不思議だ。急にこんなふうにされても、馴れ馴れしいだとか不快な感情は湧いてこない。むしろ、他人行儀じゃないのが嬉しいとさえ感じる。
「や、じゃない……です」
「じゃあ、これは?」
「え──っ」
たどたどしく答えた直後、今度は手首を取って引き寄せられる。彼の胸に飛び込む形になり、私は息が止まりそうになった。
「え!? ちょ、まっ……!」
「ちゃんと喋らなければ伝わらない。どうなんだ」
一柳さんは動揺しまくる私の背中を大きな手で支え、どこか艶めかしい声色で言う。
耳元で響くからゾクゾクする……! そしてこの人はやはりSに違いない、と発言を聞いて勝手に確信した。
でも、抱き留める手つきは優しいし、腕の中も心地いい。
ほんのり鼻をかすめる甘くスパイシーな香りにもくらくらしつつ、「嫌じゃありません」と、もう一度答えた。〝すごくドキドキするだけで〟という補足は心の中でだけしておく。
私の返答に満足したのか、静かに身体が離された。それでもまだ近い距離で、熱が集まる私の顔を、冷静な彼の瞳が覗き込む。