見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~
そうして、約二週間後の五月中旬、私はついに泰永家を出る日を迎えた。こちらまで来てくれた一柳さんと一緒に、これから新しい住処へ向かう。
彼のご両親は事業で海外へ行っていて、私とのことは伝えてあるそうなので、また日を改めて顔合わせをする予定だ。
ある程度の荷物はすでに一柳さんの自宅に送ってある。残りの荷物を彼の車のトランクに乗せ終えると、見送り隊の玄にいが「一柳さん」と声をかけてきた。
「大事な妹なんで、希沙のこと、よろしくお願いします」
丁寧に頭を下げる玄にいと、同じくお辞儀でそれに応える一柳さんに、なんだかじんとさせられる。
ところが、この雰囲気をぶち壊すのは、玄にいの隣にやってきた陸だ。
「姉ちゃんは眠くなると、風呂だろうが床だろうがどこでも寝ちゃう人なんで、そうなったら引っぱたいて起こしていいですからね。あと、冬は腹巻が手離せないらしくておっさんみたいな格好してますけど、引かないでやってください」
「り~く~」
相変わらず余計なことばかり言う弟に、じとっとした視線を送るも、当然一柳さんの耳にはもう届いている。
彼は「わかった。覚えておこう」と真面目に返していて、苦笑するしかなかった。
彼のご両親は事業で海外へ行っていて、私とのことは伝えてあるそうなので、また日を改めて顔合わせをする予定だ。
ある程度の荷物はすでに一柳さんの自宅に送ってある。残りの荷物を彼の車のトランクに乗せ終えると、見送り隊の玄にいが「一柳さん」と声をかけてきた。
「大事な妹なんで、希沙のこと、よろしくお願いします」
丁寧に頭を下げる玄にいと、同じくお辞儀でそれに応える一柳さんに、なんだかじんとさせられる。
ところが、この雰囲気をぶち壊すのは、玄にいの隣にやってきた陸だ。
「姉ちゃんは眠くなると、風呂だろうが床だろうがどこでも寝ちゃう人なんで、そうなったら引っぱたいて起こしていいですからね。あと、冬は腹巻が手離せないらしくておっさんみたいな格好してますけど、引かないでやってください」
「り~く~」
相変わらず余計なことばかり言う弟に、じとっとした視線を送るも、当然一柳さんの耳にはもう届いている。
彼は「わかった。覚えておこう」と真面目に返していて、苦笑するしかなかった。