見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~
「心晴さん、ヒトツヤナギって知ってたんですか?」
「もちろん。旧一柳侯爵邸なんて有名よ。〝大正ロマンに浸れる館〟ってよく特集で取り上げられてるんだから」
そう、私はこういうことに疎くて知らなかったが、一柳さんが支配人を兼務しているのが、その旧一柳侯爵邸らしいのだ。
彼の祖父の代まで住んでいたというお屋敷を、レストランや資料館として利用しているのだそう。私はこれから、主にそのレストランで給仕の仕事をしながら、ときどき煎茶道の講師も行う予定になっている。
昔は侯爵だっただなんて、ファンタジーみたいな話で信じられない。私はそんな異世界へ嫁に行こうとしているのか……。トリップしたまま里帰りできなくなったらどうしよう。
そんなふざけたことを考えて緊張を紛らせる私に、心晴さんが温かい笑顔で言う。
「大正ロマンの館で、希沙ちゃんの淹れるお茶が飲めるなんて最高じゃない。今度絶対に行くからね」
とてもワクワクした様子の彼女を見ていると、こちらも感化されて張り詰めた気が少し緩む。
異世界での生活も楽しめばいいのか、と気楽に考え直し、「待ってます」と笑顔で返した。
「もちろん。旧一柳侯爵邸なんて有名よ。〝大正ロマンに浸れる館〟ってよく特集で取り上げられてるんだから」
そう、私はこういうことに疎くて知らなかったが、一柳さんが支配人を兼務しているのが、その旧一柳侯爵邸らしいのだ。
彼の祖父の代まで住んでいたというお屋敷を、レストランや資料館として利用しているのだそう。私はこれから、主にそのレストランで給仕の仕事をしながら、ときどき煎茶道の講師も行う予定になっている。
昔は侯爵だっただなんて、ファンタジーみたいな話で信じられない。私はそんな異世界へ嫁に行こうとしているのか……。トリップしたまま里帰りできなくなったらどうしよう。
そんなふざけたことを考えて緊張を紛らせる私に、心晴さんが温かい笑顔で言う。
「大正ロマンの館で、希沙ちゃんの淹れるお茶が飲めるなんて最高じゃない。今度絶対に行くからね」
とてもワクワクした様子の彼女を見ていると、こちらも感化されて張り詰めた気が少し緩む。
異世界での生活も楽しめばいいのか、と気楽に考え直し、「待ってます」と笑顔で返した。