見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~
もっと周さんと心の距離を縮めたくなり、先ほどまでは抵抗があったことも自らしたいと思い始める。


「あの……今夜からここで一緒に寝ていいですか? ただ、隣で眠るだけ」


積極的すぎるだろうかと懸念するも、周さんはなんら気にした様子はない。むしろ、その瞳にわずかな光を捉え、甘さの残る口調でこう答える。


「いいよ、ただ眠るだけじゃ済まなくなってもよければ。ジャージ姿も、希沙なら予想外に悪くない」

「えっ!?」


思ってもみなかった返答にギョッとすると同時に、発熱したかのように顔が熱くなった。

私の反応を見た周さんの表情はどことなく得意気で、宥めるみたいにポンポンと頭を撫でる。

やはり冗談か本気かわからないが、あなたは最終的に私を特別扱いしてくれる、唯一無二の人だ。


……それからの一夜は、本当に手を出されることもなく、ちゃんと隣に並んで健全な眠りについた。

琴瑟相和すふたりになるために、次の日にはさらに私たちの距離が近づくことを願いながら。


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