お見合い相手のお姉さん・・・好きになってもいいですか?
2  無駄な時間・・・めんどな時間・・・

 2週間後。


 季節は夏に近づいていた。

 
 結人はあれからずっと考えていた。

 葉菜との交際を本気で断らなくてはならないと。


 タイミングがつかめないなら、電話でも伝えるしかないと思っていた。



 カフェテリア。

 ここは15分休憩などで社員が利用する休憩所。


 数名の女子社員が珈琲を飲みながら話している。


「ねぇ知っている? 社長秘書の望月さん、副社長と付き合っているみたいよ」

「え? 本当? 」

「ちょっと前に、2人でデートしてたの見たの。それに、望月さん最近すごく綺麗になったって噂だし」

「そうそう。前から可愛かったけど、最近すっごく綺麗になったのよね」


「でもさぁ、お姉さんは地味よね」

「ああ、営業部の事務にお姉さんいるんだよね」

「そっ、地味で暗くて。もう30歳過ぎているけど、未だに独身だよ」

「え? 行き遅れってやつ? 」

「そうそう、妹と比べたら月とすっぽんだからさぁ」

「あんな暗くて、見かけは男みたいな人。誰も相手にしないよ」


 数名の女子社員が紗良の悪口を言っている。


 その悪口を、偶然耳にしてしまった紗良が入り口で立ち止まっていた。

 そのままカフェテリアを出て行こうとした紗良。


 ドン!

 誰かにぶつかってしまって立ち止まった紗良は俯いたまま

「す、すみません・・・」


 と、ちょっと青い顔をして謝った。


「大丈夫か? 」


 と、聞き覚えのある声にハッとして顔を上げると、目の前にいたのは結人だった。


 結人を見ると、紗良はシレっとした顔になった。

< 12 / 59 >

この作品をシェア

pagetop