お見合い相手のお姉さん・・・好きになってもいいですか?
2 無駄な時間・・・めんどな時間・・・
2週間後。
季節は夏に近づいていた。
結人はあれからずっと考えていた。
葉菜との交際を本気で断らなくてはならないと。
タイミングがつかめないなら、電話でも伝えるしかないと思っていた。
カフェテリア。
ここは15分休憩などで社員が利用する休憩所。
数名の女子社員が珈琲を飲みながら話している。
「ねぇ知っている? 社長秘書の望月さん、副社長と付き合っているみたいよ」
「え? 本当? 」
「ちょっと前に、2人でデートしてたの見たの。それに、望月さん最近すごく綺麗になったって噂だし」
「そうそう。前から可愛かったけど、最近すっごく綺麗になったのよね」
「でもさぁ、お姉さんは地味よね」
「ああ、営業部の事務にお姉さんいるんだよね」
「そっ、地味で暗くて。もう30歳過ぎているけど、未だに独身だよ」
「え? 行き遅れってやつ? 」
「そうそう、妹と比べたら月とすっぽんだからさぁ」
「あんな暗くて、見かけは男みたいな人。誰も相手にしないよ」
数名の女子社員が紗良の悪口を言っている。
その悪口を、偶然耳にしてしまった紗良が入り口で立ち止まっていた。
そのままカフェテリアを出て行こうとした紗良。
ドン!
誰かにぶつかってしまって立ち止まった紗良は俯いたまま
「す、すみません・・・」
と、ちょっと青い顔をして謝った。
「大丈夫か? 」
と、聞き覚えのある声にハッとして顔を上げると、目の前にいたのは結人だった。
結人を見ると、紗良はシレっとした顔になった。