お見合い相手のお姉さん・・・好きになってもいいですか?

「それでさぁ、あの望月さんってここに入って何年たつの? 」

「さぁ、私の入る前からいるみたいよ」

「営業部って出会いがいっぱいじゃない? 望月さんの同期は、ほとんど結婚して寿退社しているって話よ」

「へぇー、じゃあ行き遅れのお局? いつまでいるのかな? 」

「妹の方が、先に結婚しそうなのにね」

「あのオバサンじゃ誰も相手にしてくれないよ」


 笑いながら紗良の悪口を言う女子社員は、調子の乗ってどんどんヒートアップしていた。


 紗良はその場から走って去って行った。


「あ・・・」


 結人は女子社員を見た。


「でさぁ、望月さんって飲み会にも参加しないじゃない? 」

「そうそう、誰が誘っても行かないのよね」

「きっと、オバサンだから誰からも相手にしてもらえないからよね」

「うんうん、部署でも一人だけ浮いているしねぇ」


 大笑いをしている女子社員。


「お前ら、誰の悪口を言っているんだ? 」


 ちょっと低めのトーンで結人が女子社員達に言った。


 女子社員達は驚いて振り向いた。

「あ、副社長」

「お疲れ様です」


 女子社員達は急に満面の笑みになり、結人を見た。


「今、休憩ですか? 」

「どうぞ、ここ空いてますから座ります? 」


 ニコニコ顔で誘う女子社員に、結人はムッとした目を向けた。


「遠慮しておく。みんなが一息つき、休憩する場で。人の悪口を、人目も気にせず大きな声で言っている輪に入りたくはないからな」


 女子社員達はドキッとした顔をした。


「い、嫌ですね。私達悪口なんて」

「そんな事言ってませんよ」

「ただ楽しく話していただけです」


 結人はフッと一息ついた。


「俺から言わせれば・・・お前らみーんなババアだぜ」

 女子社員達は顔を見合わせた。
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