お見合い相手のお姉さん・・・好きになってもいいですか?

 
 フロアの通路の隅に紗良は連れて来られた。


「ねぇ望月さん、貴女の妹さんは副社長と付き合っているのよね? 」

「はぁ・・・。妹の事ですか? 」

「そう、妹さんの事だもの知っているわよね? 」

「知っていますが。妹とは別で暮らしていますから、詳しい事は知りません」


 リーダー格のような女子社員が、隣の女子に目で合図した。

「望月さんって、副社長と何か関係あるの? 」

「はぁ? 何ですか? それは」


「今日、貴女の話しをしていただけなんだけど。副社長がものすごく怒って来たの」

「今度悪口言ったら、私達をクビにするって言ってたのよ」


 クビにする? そんな事まで?

 紗良は驚いて何も言わない。


 リーダ各のような女子社員が一歩前に出て来た。

「もしかして望月さん。妹を利用して、副社長に近づいたんじゃなくて? 」


 はぁ? なんでそんな話に? 

 紗良はまた驚いてきょんとなった。


「望月さんって、かなりオバサンだもの。まだ若い副社長に近づいて、色目でも使ったんじゃないかと思って」

 
 色目? なんでそんな話しなるんだろう・・・。

 半分呆れてしまった紗良。


「妹さんは若くて可愛いから、副社長に気に入られて当たり前だけど。貴女みたいなオバサンじゃ、相手にしてもらえないとは思うんだけどね。色仕掛けなら、できそうだから」


「そっ、その辺はオバサンの方が知恵はありそうだしね」


 何を言っているの? この人達。

 こんなことに巻き込まれるの嫌だから、誰にも関わりたくないのに。

 と、思った時。

 ズキンと、紗良の胸に痛みが走った。

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