お見合い相手のお姉さん・・・好きになってもいいですか?

 紗良はそっと胸を押さえた。


「ねぇオバサン。ここに働くのは自由だけど。もっと、目立たないようにしてもらえる? 」

「そうそう、オバサンが目立っちゃうと私達クビにされちゃうから」

「この会社辞めても、もうオバサンだしどこも雇ってもらえなもんね」

「辞めろなんて酷い事は、私達言わないから」

「目立たないようにしてくれたら、それでいいのよねぇ」


 クスクスと笑い出し女子社員達。

 紗良は目の前がクラっとなり倒れそうになった。


 と・・・


 ガッシリとした感覚が、紗良を抱きとめてくれたのを感じ、ハッとした。


「大丈夫か? 」

 声に振り向くと、そこには結人がいた。


 女子社員達はびっくりして息を呑んだ。



 紗良は体制を整えてシレっとした顔をした。

「大丈夫です・・・」


 と、答えるものの紗良の顔色は真っ青。



「な、なんで副社長が来るの? 」

 リーダー各のような女子社員が、ヒソヒソと言った。



「お前達、何をしていたんだ? 」


「何って」

「私達ただ、望月さんと話していただけです」

「そう、仕事の事を」

「そうそう、ちょっと判らない事もあったので」



「仕事の事なら、わざわざこんな場所に呼び出すことはないだろう? 部署で聞けばいい事だ」



「でも、みんながいると聞けない事もありますから」

「そうです」


 
 紗良はギュッと拳を握り締めた。

< 16 / 59 >

この作品をシェア

pagetop