お見合い相手のお姉さん・・・好きになってもいいですか?
紗良はそっと胸を押さえた。
「ねぇオバサン。ここに働くのは自由だけど。もっと、目立たないようにしてもらえる? 」
「そうそう、オバサンが目立っちゃうと私達クビにされちゃうから」
「この会社辞めても、もうオバサンだしどこも雇ってもらえなもんね」
「辞めろなんて酷い事は、私達言わないから」
「目立たないようにしてくれたら、それでいいのよねぇ」
クスクスと笑い出し女子社員達。
紗良は目の前がクラっとなり倒れそうになった。
と・・・
ガッシリとした感覚が、紗良を抱きとめてくれたのを感じ、ハッとした。
「大丈夫か? 」
声に振り向くと、そこには結人がいた。
女子社員達はびっくりして息を呑んだ。
紗良は体制を整えてシレっとした顔をした。
「大丈夫です・・・」
と、答えるものの紗良の顔色は真っ青。
「な、なんで副社長が来るの? 」
リーダー各のような女子社員が、ヒソヒソと言った。
「お前達、何をしていたんだ? 」
「何って」
「私達ただ、望月さんと話していただけです」
「そう、仕事の事を」
「そうそう、ちょっと判らない事もあったので」
「仕事の事なら、わざわざこんな場所に呼び出すことはないだろう? 部署で聞けばいい事だ」
「でも、みんながいると聞けない事もありますから」
「そうです」
紗良はギュッと拳を握り締めた。