お見合い相手のお姉さん・・・好きになってもいいですか?
「ちょっと、離して下さい! 誰かに見られたら、また言われますから」
「言われてもいい! 俺が・・・護るから・・・。誰にも文句言わせないから! 」
「なに言っているんですか? 」
「・・・お前ほどのいい女、どこにもいない・・・。お前は気づいていないだろうな。他の連中が、ずっとお前の事を気にしているの」
「はぁ? 」
「あいつらが悪口言ってた時、傍で聞いていた連中はみんな、あいつらを睨んでいた。今にも何か言いたそうな顔をしている人もいた。俺が、あいつらに言う前に、他の社員が言いに行こうとしていたのが目に入ったよ。俺が来たから、足を止めてたけどな」
「そんな事・・・」
「みんな、気づいているようだ。お前がわざと、人を寄せ付けないようにしている事。今日も、お前が連れて行かれたって、電話してきたくらいだ。みんな、お前の味方なんだよ」
何を言っているの・・・。
嬉しい気持ちと、どこか受け入れてはいけない気持ちで紗良は複雑な気持ちになった。
「なぁ。もう、一人で頑張るのやめろよ。確かに、人との関りは面倒な事もある。でも、どんな時でも俺が絶対に護るから」
「・・・葉菜の相手に、言われたくありません・・・」
紗良はそっと結人を突き放した。
「私みたいなオバサンに・・・関わる事ないでしょう? 」
「またそれかよ。お前の事、年上何て思った事俺は一度もないし」
「もういい! からかわないで! 」
「まったく、しょうがないな」
グイッと、紗良の手を引いて結人は歩き出した。
「ちょっと、離してよ! 」
「離さないから」
「痛いって・・・」
「ちょっとくらい痛い方が、お前はちょうどいだろう? 」
文句を言う紗良を連れて、結人は駐車場にやって来た。
そのまま車に乗せて紗良を送って行く事にした結人。