お見合い相手のお姉さん・・・好きになってもいいですか?
車を走らせながら結人は特に会話を作らず黙っている。
その隣で紗良が複雑そうな顔をしている。
「ねぇ、ちょっと付き合ってもらえるか? 」
「・・どこに? 」
シレっと紗良が尋ねると、結人は嬉しそうに微笑んだ。
「俺が、気に入っているとっておきの場所」
「・・・ふーん・・・」
シレっとしていても、いつもより素直な紗良。
結人はそのまま港へと向かった。
賑わう港のカフェ。
オープンカフェで港の夜景がとても綺麗。
手際よく、結人がちょっとした軽食と美味しいカフェオレを頼んでくれた。
気候も良くて、外のテーブルでも心地よい。
紗良はちょっとシレっとしたままカフェオレを飲んでいる。
「ここ、俺のお気にいりのカフェなんだ。本当に好きな人ができたら、絶対に一緒に来ると決めてたから」
「・・・私じゃなくて、葉菜と来たらいいじゃないですか・・・」
ムッとして視線を落としたまま紗良が言った。
「俺は葉菜じゃなくて、お前が好きなんだ。葉菜とはちゃんと別れる。何度も話しをしなくちゃならないと、思っているがタイミングがなくて」
「・・・これじゃ二股と同じだし・・・。しかも・・・妹の彼なのに・・・」
「葉菜とは二ヶ月会っていない。仕事では顔は合わせるが、個人的にデートしたりしていない。時々、葉菜から誘われるが乗り気じゃなくて断ってばかりだよ」
「・・・ふーん・・・」
シレっとして、カフェオレを一口飲む紗良を、結人はじっと見つめた。