お見合い相手のお姉さん・・・好きになってもいいですか?


「葉菜・・・」

 
 びっくりした顔をしている紗良に、葉菜はニコッと笑いかけて歩み寄ってきた。


 結人と一緒の所を葉菜に見れたら・・・

 紗良はそう思いその場を去ろうとした。


 が・・・


「お姉ちゃん、ちょっと待って」


 呼び止められ、紗良はちょっと視線を反らして葉菜を見た。



 葉菜は結人を見た。


「結人さん、お姉ちゃんと一緒だったのね」

「あ・・・ああ・・・」

「お姉ちゃん、ちょっとだけ結人さんと話をさせて。すぐ戻るから、お姉ちゃんはここにいてくれる? 」


「あ・・・」

 と、何かを答えようとした時。


 ズキン・・・


 紗良の胸に激しい痛みが走った。


「っ・・・」


 痛みに胸を押さえる紗良を見て、葉菜が駆け寄った。


「お姉ちゃん? 大丈夫? 」

「・・・な、何でもないから・・・」


 真っ青な顔をしている紗良。


 葉菜はそっと紗良の背中をさすった。


「どうしたんだ? 大丈夫か? 」


 結人が声をかけると、紗良はそっと頷いた。


「お姉ちゃん、大丈夫よ。何も心配しなくていいから」

「葉菜・・・」

「ちょっとだけ、結人さんと話してくるから。すぐ戻るから心配しないで」


 
 そう言って、葉菜は結人を別の所に呼んだ。



 2人の姿が見えなくなると、紗良はバッグから薬を取り出して水で飲んだ。


 薬を飲むと落ち着いて、顔色も戻ってきた紗良。

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