お見合い相手のお姉さん・・・好きになってもいいですか?
しばらくすると。
結人と葉菜が戻ってきた。
紗良は2人の様子を伺っているが、結人も葉菜もケロッとした顔をしている。
「お姉ちゃんごめんね、1人にしちゃって」
いつもの笑顔の葉菜に、紗良は意外そうな目をした。
「お姉ちゃん、もう何も気にしなくていいよ。私、結人さんとはキッパリお別れしたから」
「え? 」
「結人さん、他に好きな人が出来たって言うから。結婚の約束してたけど、全部破棄してもらったの」
「な、なんで? 」
「だって、結人さんの心が私にないのに、結婚なんてできないわよ」
「そんな事・・・。お母さんだって、喜んでたじゃない。どうして? 」
「うーん、そうだよね。お母さんも喜んでいて、結婚式の日取りまで決めていたものね」
「それなのに、なんで? 」
葉菜はチラッと結人を見た。
「うん、そうなんだよね。だから、結人さんには婚約破棄って事で慰謝料払ってもらう事にしたの」
「はぁ? 慰謝料? 」
「うん。婚約破棄を言い出したのは、結人さんだから。私には慰謝料を請求する権利があるの」
「何言っているの? そこまでして」
「いいじゃない。世の中お金で解決できることは、いくらでもあるし。結人さんの家はお金持ちだから。私に慰謝料払って、本当に好きな人と一緒にいられるならどおって事ないわよ」
紗良は結人を見た。
結人はただ黙って視線を落としているだけだった。
「なんだかスッキリしたわ。結婚の約束しているのに、二ヶ月もデートしてくれないなんて酷いって思っていたし。このままじゃ、時間がもったいないって思っていたの。私はまだまだ、お見合いだってできるし、他の人探す事だってできるから。このモヤっとした時間がとっても嫌だったの」
「葉菜、本当にこれでいいの? 」
「うん、スッキリしている。だから、お姉ちゃんも遠慮しなくていいから。自分の気持ちに、素直になって」
「葉菜・・・」
葉菜は深呼吸した。
「あースッキリした。結人さん、ちゃんとお姉ちゃんの事送ってあげてね。女の人を一人で帰したりは、しないと思うけど」
「ああ、解ったよ」
「それじゃあ、私はこれで」
葉菜は満面の笑みを浮かべて去って行った。
紗良はどうしたらいいのか判らない顔をしている。