お見合い相手のお姉さん・・・好きになってもいいですか?


 帰り道。

 紗良は何も喋らず結人の隣に乗っていた。

 
 結人は紗良に家はどこなのか尋ねたが、答えてくれなかった。



 このまま帰す訳にはいかないな・・・

 そう思った結人は、人気のない公園近くで車を止めた。



「紗良。ちょっと聞きたい事があるんだが」

「・・・なんなの? 」

「この前、資料室で薬の袋を拾った」


 紗良はドキッとした。



 あの資料室で。

 紗良は驚いてお弁当箱を落とした。

 そのお弁当箱には薬の袋が入っていた。


 まさか・・・それ? 

 紗良はチラッと結人を見た。


「お前、どっか悪いのか? 」

「別に・・・あれは、ただの風邪薬だし・・・」

「風邪薬? 」

「そう。ちょっと風邪気味だったから」

「ふーん。ま、いいけど。袋の中にもう1つの薬の空が入っていたから。それには名前が書いてあった。俺は詳しく分らないが、妹の遥香が看護師だから聞けば解る」

「・・・聞きたかったら、勝手に聞けば? 」


 シレっと答える紗良。


「お前さ・・・」


 スーっと、結人は紗良に覆いかぶさって来た。


 そのままシートを倒されてしまった紗良。


「意地張りすぎ。・・・葉菜の気持ち、少しは分かってやれよ」

「はぁ? 」


 プチッと、ブラウスのボタンを外され、紗良はドキッとした。


「あ・・・俺の跡消えてた」


 そう言って、結人は紗良の胸元にチュッとキスをした。


 吸い上げられる痛みがチクッと感じた紗良。


「今日はこれでいいや。家、教えてくれないなら俺の家に連れて行くけどいいか? 」

「はぁ? なんでそうなるの? 」

「だって、こんな時間に1人で返せないし。家教えてくれないなら、俺の家行くしかないじゃん」


 紗良は複雑そうな顔をした。


「送って行くくらい、させてくれてもいいんじゃないか? もう、何も気にする事ないんだし」

「・・・途中で降ろして・・・それならいい・・・」

 
 複雑そうな顔のまま紗良が言った。




 結局、そのまま結人に送ってもらう事になった紗良。

 家の途中までという約束で送ってもらい、まだ完全に家がどこなのかは教えたくないと言った。




 途中の車の中で紗良は


「薬の事・・・調べないで・・・。ちゃんと、話しますから・・・」


 と、言った。


「分かった。お前がそう言うなら、話してくれるまで待つよ。だから、俺の気持ち信じてくれるか? 」

「・・・うん・・・」


 シレっと答えた紗良だが、少しだけ素直な顔をしていた。




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