お見合い相手のお姉さん・・・好きになってもいいですか?
葉菜の家は結人の家から車で15分の所にある住宅地。
一軒家に住んでいて、現在は母親と2人暮らしの葉菜。
「いらっしゃい、結人さん」
葉菜は相変わらずの可愛いワンピース姿で、結人を出迎えた。
今日の結人はラフな薄い紫系のシャツにジーンズ姿。
「どうぞ、座って下さい。今、お茶入れますね」
リビングに案内され、結人はソファーに座った。
広々としたリビングにソファーとテレビ、そしてちょっとした棚が置いてある。
棚の上には写真が置いてあり、葉菜が小さい頃に両親と写っている大学を卒業した時の写真と、家族で写っている写真、その隣には小さい頃紗良が両親と写っている写真もある。
小さい頃の紗良は、とても素直に笑っている。
「お待たせしました」
葉菜が紅茶を入れて持ってきた。
「どうぞ」
紅茶を出されると、いい香りが漂ってきた。
「突然来て、ごめん」
「ううん、別にいいんですよ」
紅茶を一口飲んで、結人は一息ついた。
そして鞄の中から一枚の小切手を取り出して、葉菜に渡した。
「これ、約束の慰謝料」
葉菜は小切手を受け取った。
「有難う結人さん。これで、お姉ちゃん長生きできるから」
「別に慰謝料なんて言わなくても、俺がそのくらい用意したのに」
「だって、そう言わないと。お姉ちゃんは、絶対受け取らないもの。今までずっと言われてきたのに、家は母子家庭だし。お母さんも、最近はすっかり弱ってきてそんなに働けないし。私も頑張っているけど。なかなかこんな大金は、貯められないわ」
「そうか・・・」
「結人さん、お姉ちゃんの事。幸せにしてあげてね。お父さんが亡くなってから、お母さんと一緒にお姉ちゃんが頑張ってくれていたから。私は楽してこれたの。だからこれからは、お姉ちゃんに幸せになって欲しいって願っているから」
「分かったよ」