お見合い相手のお姉さん・・・好きになってもいいですか?
「荷物、持ってやるよ」
そう言って、結人が紗良の持っている荷物を持ってくれた。
「そんなのいい、自分で持って帰るから」
と、紗良は荷物を取り返そうとしたが、結人がひょいとかわした。
「重い荷物を持つのは、男の役目。だから、お前は持たなくていいんだ」
「はぁ? 何言ってんの? 返してよ」
「いいから、いいから」
結人は紗良の手を引いて歩き出した。
車まで紗良を連れてくると、荷物を後部座席に置いて、助手席に紗良を座らせた。
「ちょっと! 何勝手な事するの! 」
と、紗良の言っている言葉を無視して、結人はシートベルトをかけてドアを閉めた。
運転席に結人が乗ってくると、紗良はムスッとして俯いた。
「家はどこ? 今日は、荷物もある。だから家の前まで送るから」
聞かれても、紗良は答えなかった。
「聞いても答えない事も、想定済だから」
結人はそのまま車を走らせた。
車を走らせて、結人はそのまま自分の家に向かった。
マンションの駐車場に着くと。
結人は手際よく荷物を降ろして、紗良を助手席から降ろした。
何も言わないまま、紗良の手を引いてエレベータに乗り、そのまま部屋に向う結人。
玄関を空けて紗良を部屋の中に招くと、キッチンの食卓の上に荷物を置いた。
「ふーん。食材、買い込んでいるんだな」
買い物の中身を見ながら結人が言った。
「勝手に見ないでよ」
シレっと言う紗良。
「お前、ろくなもん食ってないじゃん。俺が作ってやるから、座ってろ」
シレっとしている紗良を、ソファーに座らせ結人は紗良の買ってきた食材を冷蔵庫に閉まった。
紗良はちょっとムッとした顔をしている。
帰る! と言いたい顔をしている紗良だが、何故か言葉に出なくてただ黙って座っていた。
リビングの壁時計を見ると18時を回っていた。
夕飯の時間。
だけど紗良は特にお腹が空いた感覚はなく。
ちょっと、うつらうつらとしていた。