お見合い相手のお姉さん・・・好きになってもいいですか?



「ほら、できたぞ」

 結人の声で目を覚ました紗良。

 いつの間にか眠ってしまっていたようだ。


 膝に優しい素材のタオルケットがかかっていた。



 テーブルに、美味しそうな唐揚げとサラダが並んでいた。

 唐揚げにはレモンをかけれるように切ってそえてある。


 ひじきの煮物もあり、全て手作りで。


 いつも出来合いの物ばかり食べている紗良は、久しぶりに見る手作りに驚いた目をした。


「目、覚めたか? 」


 傍に座った結人が声をかけてきて、紗良はまたハッとなった。


「ほら、ちゃんと食えよ。お前、ちょっと痩せすぎだから」


 そう言って、結人は唐揚げをお皿にとってくれた。

 サラダもひじきも小分けしてくれて。



 久しぶりに紗良のお腹がグーッと音をたてた。


 お腹の音にちょっと恥ずかしそうな紗良。


「なんか久しぶりだ、誰かの為に料理作ったのは。ちょっと作り過ぎたみたいだな」


 結人は嬉しそうに食べ始めた。


 紗良も戸惑い気味に食べ始めた。


 唐揚げを一口食べると。


「あ・・・美味しい・・・」

 
 と、素直に紗良が言った。


 肉感も柔らかくて油っこくなくて、とってもジューシー。

 レモンをかけるとさっぱりして、また美味しさが違う。


 ご飯もふっくら炊きあがっていて。


 サラダもシャキシャキした野菜。

 
 ひじきも美味しくて。


 ご飯がこんなに美味しいのは、久しぶりだと紗良は思った。




 いつも小食の紗良が、今日はご飯もお茶碗一杯食べて、唐揚げも沢山たべて、サラダもたくさん食べて、ひじきもたくさん食べれた。



 お腹いっぱいになると、紗良はいつもより素直な顔をしていた。

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