お見合い相手のお姉さん・・・好きになってもいいですか?
「なんで、俺を置いていくんだよ。どんなに避けられても、俺の気持ちが変わることはない」
「・・・貴女には、葉菜(はな)が居ます。・・・私は・・・相応しくありません。・・・」
そう言って、紗良はまた青年を突き放した。
ベッドを出て、紗良は服を着た。
ふと、胸元に沢山の跡がついているのを目にすると紗良の胸が大きく高鳴った。
ブラウスのボタンをはめて・・・服を着終えた紗良は、ちょっとだけ青年を見た。
青年も服を着てちょっとだけ紗良を見た。
目と目が合いそうで、紗良はサッと顔を背けた。
バッグを手にして、紗良が部屋を出ようとした時。
青年が紗良の手を掴んで引き止めた。
「ちょっと待て。どうしてそこまで、俺の事を避けなくちゃならないんだ」
「・・・避けているわけではありません。・・・妹の婚約者に、深入りしたくないだけです」
「何を言っているんだ? 俺は葉菜と婚約なんて、していないぞ。勘違いするな」
「それでも・・・私は・・・」
「お前が俺を避けるのは、知られたくない事があるからだろう? それで、俺に負担かけたくないって思ってるからだろう? 」
ちょっとだけ、ドキッとした目をした紗良。
「俺は、どんな事があろうと負担になんて思わない。お前が一人で苦しんでいる方が、俺は負担だ」
「もう、ほっといて下さい! 」
紗良は青年の手を振り払って、部屋を出て行った。
「紗良! 」