お見合い相手のお姉さん・・・好きになってもいいですか?

 モヤっとした気持ちで紗良がソファーに座っていると、結人が珈琲を入れてくれた。

 ちょっと甘い匂いがする珈琲は、紗良の気持ちを少しだけ落ち着かせてくれた。



 特に会話もなく珈琲を飲んでいる紗良。


 時々チラッと結人を見ているが、結人も無理に何かを喋ろうとしない。


「あの・・・」

 ぼそっと紗良が言った。

 ん? と結人が紗良を見た。


「・・・帰ります・・・」

「え? 帰るの? 」

「だって、もう遅いし・・・」


 壁の時計は20時を過ぎている。


「明日も休みじゃないか。そんなに慌てなくても・・・」

「・・・私といるより・・・」


 ギュッと唇を噛んでしまう紗良。


「俺はお前と一緒にいたいから。そうしているんだ」

「だけど・・・」


 結人は紗良の隣に座った。


「・・・俺は、お前が好きだと言っている・・・」

 
 そう言って、すっと紗良の襟元をたくし下げた。


 結人がつけた跡が消えている・・・。


「もう消えていたんだ」


 スーッと紗良の頬に手を添えると、結人は熱い目で見つめてきた。


「またつけるから・・・」


 と言って、紗良の唇にキスをする結人。


 ダメ! と、紗良は結人を押しのけようとしたが、強い力で抱きしめられていてできなかった。

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