お見合い相手のお姉さん・・・好きになってもいいですか?


 数日後。

 
 副社長室で仕事をしている結人。


 仕事の手を止めて一息ついた結人は、立ち上がり窓から外の景色を眺めた。


 
 コンコン。

「副社長、失礼します」


 可愛い声で入って来たのは、社長秘書の望月葉菜。

 結人のお見合い相手で現在交際中の葉菜。


 小柄な背丈で可愛いタイプの顔立ちの葉菜は、社内でも男性にモテている。


 いつも可愛いメイクに可愛い髪形。

 今日も花柄のワンピースに白いパンプス。

 ピンク色の可愛いリップが魅力的。


「副社長。これ、お願いします」


 書類を渡してニコっと微笑む葉菜。


「ありがとう」

 ちょっとそっけなく返事をした結人。


「副社長。・・・いえ、結人さん」


 名前で呼ばれて、結人はちょっとだけ目を見開いた。


「結人さん。最近デートしていませんでしたね、今度のお休み予定空いてますか? 」

「あ・・・ごめん、ちょっと・・・用事がある・・・」


 ちょと目を泳がせている結人を見て、葉菜はクスッと笑った。


「そうですか。残念です」


 ニコッとして葉菜は答えた。


「メールしても、なかなか返事がないので。忙しいんだって分かります。落ち着いたら、デートして下さいね」


 それだけ言うと、葉菜は出て行った。


 フッとため息をつく結人。



「そろそろ、ちゃんと言わないとな・・・」


 椅子に座り、デスクに向かう結人。

 
 仕事の続きをはじめた結人は、ふと、自分の怪我している指を見つめた。



 その指は、紗良があの夜噛んだ指だった。


 みかけよりずっと細身で、それでも紗良はとても色っぽくて。


 結人はいつも目で追っていた。

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