お見合い相手のお姉さん・・・好きになってもいいですか?
葉菜は話してくれた。
あの港のカフェで、偶然、結人と一緒にいた紗良を見た時の事を。
あの時、葉菜は別の男性とカフェに来ていた。
その男性は葉菜が本当に好きな人で弁護士さん。
ちょっと冴えないタイプの眼鏡をかけたがり勉タイプ。
結人とは似ても似つかない感じの男性。
その時、結人と紗良がカフェに来たのを見た葉菜は偶然を装て2人の傍に行った。
「結人さんと2人で話をさせて」
と言って、葉菜は結人を別の所に呼び出した。
離れた場所で葉菜は。
「結人さん、ごめんなさい。私、やっぱり貴方と交際できないわ」
「え? 」
結人は驚いてきょんとなった。
「他に好きな人が居るの。今ね、その人と付き合っているの。だから、結人さんとは別れようと思っていて。なかなか言い出せなくて、ごめんなさい」
「い、いや俺も・・・」
「結人さん、お姉ちゃんの事好きですよね? 」
「あ・・・そ、それは・・・」
図星を指されて結人は目を泳がせていた。
「良かった。結人さんなら、きっとお姉ちゃんの事を好きになるって信じていたんです。だから私、結人さんとお見合いしたんだもの」
「はぁ? 」
葉菜はニコッと笑った。
「結人さんなら、お姉ちゃんを事を幸せにしてくれると思ったんです。お姉ちゃん、お父さんからの遺伝で重度の心臓病を抱えていて。本当は成人まで生きられないかもしれないって、言われていたんです。でもなにかに守られているようで、お姉ちゃん生きていられるんです。病気を克服するために、手術をすすめられているんですけど。成功率が40%以下って言われていて。お姉ちゃんは、手術を受ける事をためらっているんです。手術には多額のお金もかかるので」
「多額って、どのくらいかかるんだ? 」
「詳しくは分かりません。でも、1000万くらいはかかりそうなんです。長期入院にもなるので費用もかなりかかると思われます」
「そうなんだ」
「ねぇ結人さん。私との交際、婚約破棄して結人さんから別れた事にしてもらえませんか? 」
「え? なんで? 」
「そうしたら、結人さん。私に慰謝料を払う事になるんです。そのお金で、お姉ちゃんに手術を受けてもらいたいの。ダメですか? 」
結人は少し戸惑った。
実際、葉菜とは婚約したわけじゃない。
でも・・・
紗良がそれで助かるなら・・・。