お見合い相手のお姉さん・・・好きになってもいいですか?

「わかった。言うとおりにするよ。俺が、婚約破棄をして君に慰謝料を払う。それで、紗良を助ける事ができるんだな? 」

「はい、お姉ちゃんを助けたいから。力を貸してください」


葉菜にそう頼まれて、結人は葉菜と婚約していて破棄したふりをした。


 そして・・・


 葉菜に渡した小切手は一応、婚約破棄の慰謝料として渡した。

 その額は1000万円だった。



(お姉ちゃんの為に、結人さん何の躊躇いもなく1000万のお金を動かしてくれたんだよ。その時思ったよ。結人さんのお姉ちゃんへの愛は、すごく深いんだってね)

「葉菜・・・。有難う・・・」

(お姉ちゃん。お父さんが幸せになれって、言っていたでしょう? )

「うん・・・」

(お父さんは、私にだけじゃなく。お姉ちゃんにも、幸せになれって言ってたよ。大切な娘だからって。そしてお母さんもね、いつも「元気に産んであげれなくてごめんね」って言ってたよ。もうこれで、何も心配することないから。お姉ちゃん、今までの分、何倍も幸せになってね)

「・・・有難う・・・」

 
 紗良はそっと結人を見た。


 なんとなく葉菜が何を話したのか、結人は分かったようだ。





 電話を切った後、紗良は結人に何度もお礼を言っていた。


「もういいって、あのくらいのお金。俺の貯金の一部だから」

「・・・本当に良かった、生きる事を選んで」


 結人はそっと紗良の頭を撫でた。


 
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