お見合い相手のお姉さん・・・好きになってもいいですか?
「ねぇ、お姉ちゃん。結婚しないの? 」
「しないよ。興味ないから」
「どうして? ずっと一人でいるの? 」
「楽だし、自分の事だけ考えたらいいから」
「それ、本当に楽? 」
「うん・・・楽・・・」
フッと一息つき、紗良は空を見上げた。
「他人と関わると・・・余計な感情で振り回さっるだけ。・・・一人なら、そんな無駄なことないから」
「無駄な事なの? それって」
「私はそう思っているだけ。葉菜は、好きな人もできて結婚する気になっているんだから。私の考えなんて、耳を傾けなくていいから」
紗良はお弁当を片付けた。
「葉菜が幸せになってくれれば、私はそれで嬉しいから」
そっと微笑んで、紗良は立ちあがった。
「お父さんも言っていたでしょう? 幸せになれって」
「うん・・・」
「副社長と結婚すれば、安泰だよ。頑張って」
それだけ言うと、紗良はその場から去って行った。
「・・・何言っているの。お父さんは、お姉ちゃんにも幸せになれって言ってたじゃん」
葉菜は辛そうに目を伏せた。
紗良が屋上から戻ってくると。
資料室の前を通りかかった時。
グイっと、誰かに腕を引っ張られ資料室に引きずり込まれた。