卑劣恋愛
「人目のつかない場所で言うなら、やっぱり山小屋とかかな」


智樹は気を取り直すように、そう言った。


そう言えば今回の監禁事件も、被害者の少女は山に連れていかれていたっけ。


「でも山小屋なんてどこにあるの?」


「俺の祖父が山を持ってるよ」


「嘘、どこ!?」


聞くと、智樹は駅の近くにある山を指さした。


この辺では一番大きな山で、ほとんど人が立ち入らない場所だ。


あたしは目を輝かせて地図を見つめた。


「ここなら誰にもバレないかも!」
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