卑劣恋愛
☆☆☆

学校から山小屋までは自転車で10分ほどの距離だった。


駅の裏にある山ということで、山に到着するまでは沢山の生徒達と紛れて移動することになった。


「さすがに緊張してきた」


歩きながら智樹へ声をかける。


「俺も」


「智樹も緊張するんだ?」


「もちろん。この計画が上手くいけば、俺には報酬がもらえるんだからさ」


智樹はそう言ってネバついた視線をあたしへ向ける。


その視線にからめとられてしまいそうな気がして、あたしはすぐに智樹から顔をそむけた。


それから更に歩いて山道へ差し掛かったけれど、予想していたよりも舗装されていて歩きやすい状態だった。


「山小屋はこっち」


智樹に案内されて脇道にそれるとすぐに山小屋らしき建物が目に入った。
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