卑劣恋愛
それなのに……あたしが邪魔?


怒りが湧いてくる中、あたしはその感情をグッと押し込めた。


武への質問はまたあとでいい。


ゆっくりゆっくり、あたしへの気持ちを聞かせてもらえばいい。


「武のことを拘束するのはわかるけど、あたしを拘束したのはどうして?」


あたしは智樹へ向けて聞いた。


武はあたしを殺そうとした危険人物だ。


でもあたしは違う。


あたしは単純に、武のことが好きなだけだ。


「それは……こうしておけば、ノドカを俺の好きにできるだろう?」


智樹はそう言い、あたしに顔を近づけて来た


智樹の息が頬にかかり、咄嗟に首をひねって逃げていた。


「そういうの犯罪だよ」


睨み付けてそう言うと、智樹は一瞬キョトンとした表情であたしを見た。


そして一秒後、本当に可笑しそうに声を上げて笑い出したのだ。

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