卑劣恋愛
「今更何を言ってるんだよ。ノドカ、君も俺もとっくの前に犯罪者だ。千恵美を襲う計画を立てた時からな」


千恵美の名前が出た瞬間、武がミノムシみたいに身じろぎをした。


なにか言いたいのだろう。


「大丈夫だよ武。千恵美は智樹に襲われたけど、喜んでいたんだって」


あたしの言葉に武は目を丸くしている。


「千恵美って本当に変態だよね。好きな男に無理矢理やられて喜ぶんだもん。だから、あれは犯罪じゃなくて合意の上でしょ」


あたしは智樹へ向けてそう言った。


しかし、智樹は呆れ顔のままだ。


「まぁいいよ。ノドカも俺も、千恵美も、武だってそれぞれ狂ってる」


「武は違う!」


「スタンガンは千恵美に使う予定だったし、ノドカを生き埋めにしようとした。充分くるってるよ」


智樹はそう言いながら武の前に立った。

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