卑劣恋愛
「俺とノドカは良く似てる。拘束を解いた時の行動くらい、安易に想像がつく」


その言葉にあたしは軽く舌打ちをした。


やっぱり、泣き落としなどは通用しなさそうだ。


拘束を解けば逃げられる。


下手をすれば、自分に危害が加わると分かっているみたいだ。


「あたしは智樹と約束をしたでしょ? 計画が上手く行けば、報酬をあげるって。あれは嘘じゃないよ?」


あたしの言葉に智樹がゴクリと唾を飲み込む音が聞こえて来た。


「分かってる。報酬なら、ノドカを拘束したままでも貰うことができるだろ」


「それじゃ嫌! ロープでがんじがらめにされたままなんて、気持ちよくないでしょ!」


あたしは早口で言った。


「あたしは智樹と一緒に気持ちよくなりたいの」


「ダメだ。信用できない」


「そんな……!」


ショックを受けた顔を作りながらも、あたしは内心苛立ち始めていた。


さっさとここから脱出して、警察に助けを求めないといけない。
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