卑劣恋愛
千恵美……!?


あたしは身をずらしてドアへと視線を向けた。


するとそこには、千恵美が立っていたのだ。


「なんでここに……?」


智樹は混乱しつつも、あたしと武を隠すようにドアへと近づいて行った。


「千恵美! 千恵美助けて!」


あたしは必死に悲鳴を上げる。


「こんなところで何をするのか、気になって来ちゃった」


千恵美は明るい声で智樹に話しかけている。


「千恵美!!」


「はいはい、聞こえてるよ?」


千恵美はのんびりとした口調でそう言うと、智樹の体を押しのけて小屋の中に入って来た。


そして武とあたしを交互に見比べる。

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