卑劣恋愛
そして、千恵美はその手紙をあたしの前で踏みつけたのだ。


まるで汚いものでも見ているような視線を投げかけながら、土のついた靴で……。


「本当に、キモイんだよね。武ってさ」


千恵美があたしの目の前に屈み込んでニタリと笑って言った。


一瞬にして血が頭に上り、あたしは怒鳴り散らしていた。


「なにすんだよこのクソアマ! お前なんか下半身ガバガバのくせに武の気持ち踏みにじってんじゃねぇぞ!!」


自分でも、ここまで汚い言葉が出て来るなんて思わなかった。


一気に怒鳴り、肩で呼吸を繰り返す。


これほどまで武に愛されているくせに。


これほどまで武に想われているくせに、なにが不満なんだ!


「こわぁい!」


千恵美は甘い声で叫ぶと智樹の腕を掴んだ。


「おい、やめろよ、離れろ!」


「どうして? こんな野蛮な女やめてさ、あたしにしなよ?」
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