卑劣恋愛
武の顔は真っ赤になって、目は吊り上がっている。


なんだか本当に怒っているように見えて、たじろいてしまった。


「そうしたら武のお母さん、武はいつもより早い時間に家を出たって言うからあたしビックリしたんだよ?」


あたしは続けて言った。


「お前さ、自分がなにしてるか理解してんのかよ」


「なんのこと? あ、武のお母さんがね『もしかして武の彼女さん? あの子にこんな可愛い子がいたなんて』って、喜んでたよ? ねぇ、そろそろ両親に紹介してよ」


早口で話していると、武は目を吊り上げてまま大股で歩き始めた。


あたしは再び小走りで武の後を追いかける。


「俺とお前が、いつ付き合ったんだよ」


学校の校門が見えて来た所で武が言った。


「え?」


「付き合うなんて言った覚えはないぞ」


「でも、メッセージとかしてるし」


「お前が強引に聞きだしたんだろ! IDを教えないと屋上から飛び降りるって言って!」

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