卑劣恋愛
「智樹! その女を殺して、あたしを解放して!」


あたしは2人の声に負けないくらいの声で、言った。


千恵美の動きが止まり、鋭い視線がこちらへ向く。


「ノドカ……」


「ほら早く! 言うことを聞いてくれれば、あたし一生智樹の傍にいる!」


「本当か? 本当に、一生傍にいてくれるのか?」


智樹の目があたしを捕らえて離さない。


「約束する。だから早く千恵美を殺して!!」


叫ぶあたしに智樹が徐々に近づいてくる。


その目は濁り、口からヨダレを垂らしている。


なにかがおかしい。


そう感じたけれど遅かった。


『一生傍にいる』


その言葉は智樹にとって麻薬のような言葉だった。


あたし自身、武にそんなことを言われたら自我を失ってしまう自信があった。
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