卑劣恋愛
智樹の手があたしの体に伸びてきて、制服のスカートを捲り上げた。


「一生一緒だもんな……。こういうこともしていいんだもんな……」


「智樹目を覚まして! その前にやることがあるでしょ!?」


身をよじって逃れようとしたとき、智樹があたしの上に馬乗りになってきた。


「やめて! あたしの言うことを成功させてからの報酬でしょ!?」


智樹にあたしの声は届かない。


口から零れ出ただ液があたしの頬を濡らした。


サッと顔から血の気が引いて、キツク目を閉じた時……。


「浮気はダメだよ?」


千恵美の無邪気な声が聞こえてきて、続いてガッと大きな音が聞こえて来た。


「え……?」


目を開けると、あたしの上にいた智樹が白目をむいて横へ倒れ込むところだった。


千恵美が笑みを浮かべて両手に木片を握りしめている。


あれで智樹を殴りつけたのだろう。


智樹は倒れ込み、そのまま気絶してしまったようだ。
< 151 / 262 >

この作品をシェア

pagetop