卑劣恋愛
「顔が好みなら、その顔を破壊すればいいと思わない?」


あたしは大きく息を飲んで千恵美を見つめた。


「ほ、本気でそんなこと言ってるの?」


「そうだよ? だって、これしか方法がないもん」


「でもさ、そんなことしたらきっと智樹は千恵美を許さないよ?」


智樹の名前を出すと、千恵美は一瞬辛そうに眉を寄せた。


「だって……」


そう呟いて気絶している智樹を見つめている。


「あたしの顔を傷つけたって、千恵美の顔が変化するわけじゃないんだし、やめときなよ」


あたしは早口で言った。


千恵美はあたしと智樹を交互に見つめて悩んでいる。


「そうだぞ……千恵美」


その声にハッとして視線を向けると、いつの間にか武が意識を取り戻してた。


「武、大丈夫!?」
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