卑劣恋愛
「嫌だよ。ノドカを解放したって役立たずだもん」


「え……?」


「武、智樹の体を運びたいから手伝って」


千恵美が言うと、武はようやく体を起こした。


「運ぶって、どこに?」


「あたしの家。あんたたちを見てて思ったの。智樹を監禁すればあたしのものになるんだってね」


千恵美はそう言い、こちらへ向いて笑って見せた。


「智樹のことは好きにしていいよ! だから、あたしも一緒に外へ出して!」


智樹の体を移動しはじめる2人へ向けてあたしは叫んだ。


このままじゃ小屋に閉じ込められることになる!


武が智樹の体を担ぎ上げ、小屋のドアを開けた。


千恵美はその後に続く。


「あんたはここにいて。大人しくしていれば、ご飯くらい持って来てあげるから」


千恵美はそう言うと、あたしを残して小屋を出たのだった。
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